しれとこ100平方メートル運動

運動地の定点撮影調査

 100平方メートル運動地では、それぞれの環境に合わせた森づくりを行っています。例えば、シカが小さな木々を食べてしまうため、なかなか木が育たない「未立木地」では、防鹿柵を作りその中に木々の苗を植え込む作業を進めています。一方、同じような環境でも、柵も作らず、木も植えていない場所では、何年たってもササや牧草などしかない「草地」が続いているような状況になっています。

 知床の森づくりは、数百年先の未来の森を目指した取り組みです。この息の長い取り組みを記録し後世に引き継いでいくために、その時々の運動地の環境や作業後の推移を定点写真として残しています。

定点撮影ページ_地図_カメラ追加

積雪深調査

 積雪期には毎年積雪深調査を実施して防風柵の効果や積雪状況を調べています。一年を通して強い風が吹き下ろす草地へは、ただ木を植えてもなかなか育ちません。特に冬は地表の雪が吹き飛ばされて木が風雪にさらされ枯れてしまいます。また、雪が少ないことからエゾシカが集まって餌場となり、木が踏みつけられてしまいます。

 運動地では風の強い草地で木を育てるために風を止め、雪をためる防風柵を設置しています。防風柵の効果で吹き溜まりが出来る場所では、雪が「布団」となって植樹したアカエゾマツを覆い、枯れずに残っています。これからも知床の厳しく複雑な自然の条件についてひとつひとつを学びながら、効果的な柵の高さや設置間隔などについて試行錯誤が続きます。

 

IMG_9936 - 雪をためる防風柵を2002年(平成14年)に6基設置し、エゾシカに食べられにくい4,200本の針葉樹の苗を植えました。現在までに10基の防風柵を設置しています。

 

IMGP4900 積雪深調査の様子です。2月中旬以降の積雪が最も多くなる時期に実施しています。

 

アカエゾマツ残存状況

↑アカエゾマツを植えた4年後の2006年には、4200本のうち1483本が残っていました。

 

防風柵周辺の積雪状況

↑色が濃いところほど、積雪が多い場所であることを表しています。

シカ採食圧調査

調  査  年:2007年及び2012年(5年毎)
調査場所:第5区画「2006年設置防鹿柵」内外

 2006年に設置した防鹿柵の内外で、5年ごとに柵の効果を検証するための林床調査を行っています。柵の内外で同じ調査を行うのは、シカが入ることが出来ない柵内と柵外の比較をすることで、シカの採食圧の影響を見るためです。調査の結果、冬にシカの重要な餌資源となっているササが柵内で著しく増加していることがわかりました。その他、草本も柵内では種類や本数が増える傾向が見られました。樹木については、この5年間ではまだ明確な回復の効果は現れていません。さらに長い期間にわたって変化を確認していく必要があります。

  調査初年時(2007年) 5年後の同地点(2012年)

柵内

 

シカの影響なし

 柵内2007  柵内2012

柵外

 

シカの影響あり

 柵外2007  柵外2012